わらの暮らし

おはようナームの戸板保江さんとわら

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いまから23年前、わらをはじめて2年目の年末にあらかじめご注文いただいた、わらオリジナルおせち料理を500人前、100セット作らせていただき、岡山市倉敷市を中心に当時のスタッフと私で手分けして配達しました。
私は20軒ほど配達しました。その日の朝まで徹夜で、おせち料理を作り、へとへとでやっと最後の一軒にたどり着きましたが、そのときにはもうあたりは真っ暗。
朝から配達して丸1日かかりました、でもその最後の家で迎えてくれた奥さんはとても明るく元気な方で、すこし玄関先で話をしただけなのに、なんとなく疲れが取れたうえ、その方から元気まで頂きました
そして帰り際に、その元気いっぱいの方が、一転して恥ずかしそうに、何かが入った紙袋を私に差し出しながら、「私が焼いたパンなんですが食べていただけませんか」といって渡してくれました。食欲もないくらい疲れ果てていたのでそのパンの入った紙袋を助手席において帰途に着きました。
ところがその袋から今まで経験したことのない香ばしくなんともいいがたいいい香りがしてきたのでした。気がつくとその香りに誘われて思わず一口ほおばっていました。そのおいしさと香り、そして作り手の優しさと愛情で心があつくなり体中が喜んでいたことを今でもはっきりと覚えています。今思い出しても胸が熱くなります。
私は食べることが大好きで、数多くの料理人の料理を食べてきました。今ままでにも、何度か感動的な料理を口にしたことはありましたが、ひとつのパンでこんなにも魂を揺さぶられたことはありません。そのパンの作り手が私の大切な生涯の心友 戸板保江さんだったのです
翌日すぐに電話を書け、私の思いと感謝を伝えました。どこのパン屋で修行したのか? どんなオーブンで焼いているのか? 小麦の品種は? 酵母の種類は?矢継ぎ早に質問をしていました。
驚いたことに、一冊の本を片手に、独学 オーブンもリンナイの家庭用オーブン
ただパン好きの末期のがんの母親に安全でおいしいパンを食べさせたい一心で焼いてきたというのです。
「おかあちゃん おかあちゃん」と泣きながらこねて、焼いていたそうです。
私はなんとしてもこのパンを自分でも焼いてみたいと思うようになり、その翌年から わらで戸板さんのパン講習が始まりました。
私たちがニュージーランドに行っている間を除いてはそれから毎年もう20年も続いています
毎年 戸板さん(おはようナーム)のパン講習を受けることで私自身がわらを始めた原点に立ち返る機会を与えられています。なんのためにわらをしているのか、私は料理を通してどんな生き方をしたいのか。
「一に料理は愛の表現」「 物言わぬものに物言わす物つくり」
セミナールームやホテルのような擬似空間で行われている自己啓発セミナーよりも、自分で酵母を起こし、自分の手で生地をこね、整形してパンを焼く 幸せは今ここの おはようからお休みまでの日常にあり、この日常を心をこめて丁寧に生きるその先にこそ本当の幸せがあると思います。
今年の戸板さんのパン講習は今週の週末に開催されます。日にちが迫っていますが,縁ある方とは必ず繋がると思っています。
戸板さんのパン講習を通して命の質を上げてみませんか・

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