わらの暮らし

森は生きている 

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雲ひとつない五月晴れの朝。

こんな日は一段と鳥たちの声が村中に響き渡ります。

さえずりに誘われて、わらの遊歩道へ散歩に出かけました。

 

この時期の森は生命の息吹に満ち溢れています。

冬には葉っぱを落とし、幹と枝だけになっていたはだかんぼうの木々たちも、一気に芽を吹き、はじけたばかりの淡い緑と深緑のバリエーションで、山々がこんもりと盛り上がります。

 

土のかおり

木のかおり

若葉のかおり

頬に当たる風・・・

 

優しい木漏れ日の森を歩いているだけで、足の裏から“氣”が満ちてくるようで、自然に頬もゆるみます。

今では出会えることが貴重になったササユリが、風に揺れるたびに可憐なかおりを放ち、地面を這うように咲くヤマツツジのオレンジ色が、いっそう山の生命力を伝えます。

 

コナラ、松、杉、檜、竹林などの多様な木々からなるわらの里山では、季節の山野草の他にも、食べきれないほどの野いちごや桑の実などと、それらを育むいのちの循環を見ることができます。

これから暑くなると、わらの広大な敷地の中に生える草との格闘です。

今日も、明日も、あさっても。草刈り、そして草刈り・・・・・

汗にまみれて刈った夏草や、冬の落ち葉が大切な農業資材になります。

 

私はこの森の溢れんばかりのエネルギーや雑草の力強い生命力を心身で感じるとき、アメリカの思想家バックミンスター・フラーの言葉を思い出します。

「私たちが生きるために必要なものは自然界から全て自分に与えられている」

持続可能な宇宙船地球号をくっきりとイメージできるのは、33年間のわらでの暮らしがあったから。

森と自然の営みを敬い、それを大切に思う暮らしのなかで与えられてきたものは、

目に見える豊かさの他に、いのちの輪廻による深い安心感なのです。

 

こんな素晴らしい自然環境を与えられた奇跡につくづく感謝する一方で、

自然から遠のいた生活をしている都会の子供たちに、この森の命を感じ、味わい、よろこびを共有する機会を増やしていくことが、60歳を超えた私のこれからの夢なのです。

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